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私は奥にあるキッチンへと向かい、テーブルの上にパンの入ったバスケットを置いた。
キッチンは薬草の匂いがしないから、幾分か過ごしやすい。
綺麗に整頓されているし、シチューの香りがする。
「うー……すごく食べたい。
けど、早く帰ってお店の手伝いしなきゃ!」
後ろ髪を引かれる思いで、おばあちゃんの家を後にした。
早足で村へと向かう。
木々達がざわざわと揺れて、少し不気味な雰囲気を漂わせている。
私はここで、森の異変に気付いた。
「……鳥達が、いない?」
おばあちゃんの家に向かっている途中では、感じなかった違和感。
鳥だけじゃない。
木の枝を歩くリス、草を掻き分けて走るウサギがいない。
……ガサガサッ
「!?」
突如、前方の茂みからガサガサと物音がした。
恐怖から、無意識にごくりと喉が鳴る。
何かいる……!
そう思った私は、スカートの裾に隠し持っていたナイフを取り出して構えた。
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