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「ねえ朝義!朝義も一緒に考えようよ!」
「断る。考えたければお前と三郷だけでやれ。俺を巻き込むな。」
「折角二人なんだから、一緒にポーズ取った方が決まるじゃん。プ●キュアとかプリティマリーみたいで。」
「いい歳の男を子供向け番組の変身ヒロインと同列にするんじゃない…!!」
全力で拒絶の意思を示す朝義だが、どんどん自分が劣勢に追い込まれているのは分かった。舌戦は元々得意でないし、実力行使もできない。
そして幸平は、朝義を確実に仕留められる『必殺技』を無自覚に持っている。
「……朝義…」
幸平は、眉をハの字に下げてトレーを抱えたまま肩を落とす。
それから、捨てられた子犬のような目で朝義を見て、首を傾げる。
「……ダメ?」
「~~~~っ!!」
この表情を見せられると、正当なことを主張していてもこちらの方が悪者のような気分になってくる。『子供』のお願いを冷たくあしらって無視できる程強靭な精神力を、朝義は持ち合わせていなかった。
「お、幸平の『必殺技』が出たぞ。」
「あー、朝義さんもうダメね。」
これ以上にない程渋い表情で唸る朝義の横では、面白がっている三郷と苦笑する日向が追い打ちをかけるような言葉をこぼした。
「貴様ら…!!」
「で?どーすんだ朝義?」
「………」
完全に楽しんでいる親友を後で一発殴ろうと胸中で決めて、朝義は疲れ切ったため息をついてから幸平を睨みやる。
「……実戦では絶っっっっっっ対!やらないからな。それでもいいんなら、付き合ってやる。」
「ぃやったぁっ!ありがとう朝義!!」
「ひっつくな…!」
「結局、幸平のこと甘やかしちゃうのよねぇ…」
「日向ちゃんもな。」
抱きつく幸平とそれを引き剥がそうと奮闘する朝義を見て、苦笑交じりにため息をついた日向に、三郷も似たような表情で返して続けた。
「ま、俺もだけど。」
「三郷さんは朝義さんにも甘いじゃない。」
「えぇっ!?」
その後、コレクターとの戦闘開始時、ヘリオスが何か動きを見せようとした瞬間に、ソルが後頭部を思い切りどつくという光景が何度か目撃されたらしい。
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