0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
雨は、時として出会いを連れてくる。
タンタンタン、と雫が刻む一定のリズム。
頬に絡みつく髪。
スカートの裾が足に吸い付いた不快感。
湿った匂い。
ザーザーと激しく流れる川の音。
雨は好きになれない。
「入れてもらってもいいですか?」
ぼんやりと足元を見つめていたら、ふと声がした。顔をあげると、学生帽の青年が鞄を雨避けに立っている。
「どうぞ」
少し隙間を空けてやると、決して広くない木造の軒下に、青年はすっと入ってきた。
とんと触れた肩。気付かれないようにそっと横目で顔をのぞいた。凛とした横顔。不思議と鼓動が速くなる。
最初のコメントを投稿しよう!