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「っ……ぷはっ!」
アクシデントにしては深く長めのキス
正直、ファーストキスだったけどその時はそんなこと考えている余裕はなかった
慌てて魔王を突き飛ばすかのように離れ、止まった呼吸を再開する
「はぁ、はぁ……無事ですか姫さ……」
息を整えつつも振り返った先にいたのは
「…………はしたないわね、もっとヤりなさい」
鼻血をだだ漏れにしたアニス姫様だった
「…………え?ひ、姫様?」
「ほら、何をしているの?
私はいないものと思ってもらって構わないから
最後まで欲望の赴くままに貪りなさい」
言っていることの大半が理解不能だったが、とりあえず辛うじて姫様が何やら勘違いのようなものを起こしていることだけはわかった
「姫様、その……お言葉ですが、さっきのはただのアクシデントであり……」
「照れなくても良わよ。さあ早く続きを」
「姫様、僕の話聞こえてますか」
ハァハァと姫にあるまじき息の荒さで僕らを見詰める姫様
魔王だって相当引いていることだろうと思い、再び魔王へと顔を向けようとした
まさにその瞬間
「っ――!?」
再び抱かれる僕の身体
目前にある整った顔
熱にでもうかされたかのようにぼうっと霞む綺麗な瞳
心から愛おしそうに触れた唇は一瞬で離れ
"魔"の言葉を紡いだ
「……Will you marry me?」
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