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「先程の兄さんの声を録音しておけばそれで『兄さんボイス目覚まし』の18号が作れたというのに……私としたことが……」
「……用件があるならさっさと言え。俺は一刻も早くバニラへの求愛行動を再開したいんだ」
「再開すんな。てか変態行動の間違いだろ」
「ああ、忘れるところでした。また愚かなる人間が現れまして」
一旦恍惚の表情を引っ込め、如何なさいますか?と尋ねるミント
公私を分けられる辺り、兄貴よりは幾分かマシなのかもしれない
……ああ、因みに"愚かなる人間"というのは王の出したお触れにより魔王を討ちに来た奴ら――所謂勇者といった人達のことだ
「またか……」
深い溜息をつき、傍らに置いてあった刀の束を担いでタイムは立ち上がった
「いっそのこと片っ端から惨殺した方が楽なんだが……約束は約束だからな」
振り返り、魔王はその瞳の中に僕をしっかりと捉えた
吸い込まれそうな深い瞳に、思わず動けなくなる
「俺は約束は破らない――絶対にな」
そんな僕を見、満足したのか
魔王は優しく微笑むと、かったるそうに扉の向こうへと消えて行った
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