転機

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けど、気がつけば周りは結婚ラッシュを迎えていて、結婚していない友人達もほとんど同じ将来を見据えてる相手がいた。 雑誌のコラムだって”30代に突入すれば婚期が下がる!”みたいなのが目立つ。 そんな中、30歳手前にして彼氏さえいない自分はこのままで大丈夫なのかと。 それなりに仕事も頼られるようになったことは後悔していない。 むしろ、がむしゃらに仕事に打ち込んだ日々が報われたようで嬉しいけれど、結局あのとき私は仕事に逃げたんだろうなって思いも拭いきれない。 シアワセになりたいだけなのに、人生って難しいなあって最近の私の頭の中はこの話題が無限ループだ。 「それって、仕事か恋愛かどっちにシアワセの重きを置くかだよね。」 ひととおり話し終え、デザートの杏仁豆腐に手をかけると一拍おいて先輩が口を開いた。 「きっと、柚季穂の年齢で結婚してる子は恋愛にシアワセを感じてたんじゃないかな。仕事にシアワセを感じてたらきっと恋愛なんてしてる暇ないよ。」 ”結婚しちゃったから説得力ないかもしれないけど、私がそうだったからね”とイタズラな笑みを浮かべる先輩に少し驚きながら、私はどっちに重きを置いているのか考える。 きっと2年前までは完全に恋愛に置いてたんだと思うけど、浩人と別れて仕事に打ち込むようになってからは仕事に置き始めたってことになるのかな…。 意欲的に恋愛したい!って訳じゃない。そんな元気も無いし。 だからってこのままで良いとも思ってない。 私ってつくづく面倒だな…。 「柚季穂は恋愛も仕事も両方に同じ分だけのシアワセを求めてるように見える。でも、きっとそれは凄く器用じゃないと出来ないことだよ。」
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