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「…先輩、私このままで良いんでしょうか?」
「うん?まあ、仕事の出来るバリバリキャリアウーマン稲村としてはいいんじゃないの?私もいつ産休入るかわかん無いし。」
がやがやとした店内に店員さんの威勢のいい声。
目の前の美人な先輩は顔に似合わず、焼き鳥にかぶりついている。
仕事終わり、俗にいうアフター5ちょっと過ぎた頃。
新人時代に私の教育係りとしてついてくれてからプライベートでも慕っている南野先輩と居酒屋に来ていた。
「え!えぇ!先輩、産休入るんですか?!」
予想外の発言に口へと運んでいた茄子の漬け物がぽとりと受け皿の上に落ちた。
…よかった、受け皿あって。
もう一度、箸でつまみ今度こそ口へと放り込むと視線を先輩に向けた。
「そりゃあいつかは入るわよ。私もそんなに若い訳じゃないんだから。それよりアンタの話でしょ?」
「うっ。…はい。」
何と無くいたたまれなくなり枝豆をつまむ。
稲村 柚季穂 27才。
ただいま、理想と現実のギャップに苦しんでおります…。
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