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「…私、この年になれば結婚とは言わずともそれを将来的に考えられる相手もいて、仕事もそこそこに相手の為にご飯作ったりなんだかんだ楽しく過ごしてるんだと思ってました。」
いや、正直なところ学生の頃なんかはもう結婚してると思ってたけど…。
学生のうちは人並みに恋愛もしたし、それなりに失恋も経験した。
きっとそのままいくつかの恋愛をしてどこかのタイミングで結婚するんだろうと思ってた。
ただ現実はそう甘くない。
同期はほぼ寿退社。地元の友達もどんどん結婚して行って披露宴や二次会のお誘いは年々増えていくばかり。
「うん、それで?」
「…私、本当に今のままでいいのかなあって。」
受け皿にどんどん増えていく枝豆のからを尻目にもう残り3分の1ほどになった二杯目のモスコミュールを煽るとクラっと程良くアルコールが頭に回る。
つまりは、シアワセになりたいのだ。
誰かの為に作ったご飯を一緒に食べて、仕事の愚痴や嬉しかったことそんなたわいもないことを話して、イベント事にはプレゼント送り合ったりして、将来なんか約束し合ったりして。
「そろそろ柚季穂もオトコが恋しくなったのね!」
南野先輩は口をつけていたジョッキをドンっと机に置くと、満面の笑みで私の頭を撫で始めた。
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