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「もう!先輩酔っ払ってるんですか!?」
「だって柚季穂がそんな事言うから嬉しくてー!」
髪を乱されるその手を阻むと、今度は抱きしめられた。
心配かけてたのかな…。
これだけ悶々と悩んでいながら、その理想とのギャップの理由は自分にあるのは分かっている。
ある一件以来、恋愛から遠ざかっていたのが何よりの原因だ。
その原因を分かっている南野先輩は口に出さないでいてくれたけど、きっと私が恋愛に積極的になれるか心配してくれていたんだと思う。
少しだけ心の奥で反省しながら、やんわりその手から離れる。
テーブル横を通り過ぎるお客さんの視線がチラチラ気になってたんだよね…。
「そういえば、なんで東崎さんと結婚に踏み切ったんですか?」
近くの店員さんを呼び止めカラになったジョッキとグラスを引き換えにビールとモスコミュールを頼む。
東崎さんは、南野先輩の旦那さんだ。
南野先輩の同期で営業部の課長。
南野先輩は美人だし、東崎さんも営業部のエースで異例のスピード出世って有名だったから2人が結婚した時は凄く噂になっていた。
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