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「んー。なんでだろうね?年齢的なものもあるんだろうけど、コイツとだったら何年も連れ添えるかなって思ったから、かな。」
そう少し照れながら語る先輩を見ていると、こっちまで顔がにやけてしまう。
凄く幸せそうだから。
入社した時から、南野先輩は私の憧れだった。
仕事ができて、後輩も上司にも優しくて丁寧で、男性社員にも引けをとらない強さを持っていて、誰からの信頼も厚い。
私が仕事のミスをした時も厳しく叱られたけど、アドバイスと一緒に良いところとお菓子の差し入れをくれたりなんかして。
不思議と仕事を辞めようと思ったことは無かったし、初めてこんな人になりたいなって思った。
先輩のせいでは無いのは分かってる。
でも、全く影響がなかったのかと問われるとそうではない。
その〈憧れ〉が悪い方向に向いてしまったんだ。
だからあの時、私は仕事に逃げてしまった。
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