戸惑い

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浩人とはそれからも連絡を取り合っていて、たまにご飯に行ったり呑みにいったりを何度か繰り返してるうちに付き合った。 いつでも楽しそうに笑う浩人のことが大好きで、その笑顔を見るたび私も笑顔になれて一緒にいると落ち着けた。 仕事はいつも忙しそうだったけど何かあれば会いにきてくれてたし、お互い仕事の愚痴を言い合ったり、私の部屋で手料理を振る舞ったり、そんな何気ないことでさえ幸せで。 たまに2人の休みの日が合えば浩人の車で遠出したりして、気が付けば浩人と付き合って2年が経っていた。 言葉にさえ出さなかったけど、きっとこのまま浩人と結婚するんだろうなって心の何処かで思っていたし、そうなれば仕事を辞めてもいいとすら思ってた。 結婚してもきっと今と変わらない生活で、毎日ゆっくり過ごすんだろうなって。 結局は私の思い過ごしだったけど。 今考えれば、なんで2年もの間一緒にいたのに気付かなかったか不思議だ。 イベントを一緒に過ごすことはなかったこと。 浩人の部屋に一度も入ったことがなかったことを。
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