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「おまえなぁ、せっかくウチみたいな本格的なバーに来ているんだからよ、たまにはカクテルとか頼んでみろよ」
友人でもあるこの店のマスターの山岡が、グラスを磨きながら店の雰囲気を壊すような甲高い声で言った。自らの腕の見せ所がない事にとても憤慨している様だ。カクテルを作る技術はたしからしいが、こいつは喋らない方が店の為にも良いと俺は思う。地下鉄の駅に近く、割と栄えた繁華街にあるこの店は、小さいながらも雰囲気の良い店だったが、今日の客は開店からまだ俺しかいない。
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