眼前の怪異

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……暗黒の中に、怪物はいない。 ほっ。─―やっぱり、怪物なんているわけないよね。 念のため、怖いけど、暗くて見にくい部屋の中を見回す。 「……ふぅ。怪物はいない」 私は、半身を起こして、読書灯をつけた。 ガラス製サイドテーブルに置かれた、ミネウォペットボトルを手に取り、ゴクゴクと胃へ流し込む。 ……美味しい。生き返る。 「早く寝なきゃ」 さっきの騒音が何であるか、堅く確認する必要は無いでしょ。 楽観的に考えて、私は、ライトを消して横になり、目を閉じる。 視界が、黒く染まった。 ……ドンッ。 又しても、うるさい音。 今度は、この部屋の壁の上あたりから、聞こえた。 何よっ! 早く寝ようと思ってるのに! 怪物かもしれないけど、さっきと同じで、問題無いわよ。
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