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「自殺、でしょうねぇ」
「まあそれで決まりでしょう」
しかしねえ。栗山はうなった。こんな若い美人が自殺とは。
「どうやら最近、精神的に参っていたようで、通院記録もあるようです」
佐川がきびきびと報告するが栗山は一人、釈然としない様子だ。
「でもだからって、普通もっと違う死に方を選ばないか?」
栗山が顎で示すと佐川も死体に目を向けた。その美女の死体は上半身が血まみれだった。
それもそのはず、死因は失血死である。
今のところ、彼女は鏡に自ら突っ込み、そのガラスの破片で首を切って死んだと見ている。
そしておそらくこれが最終結論だろう。
「何でなんだか」
「自分があまりに美人過ぎてつらくなったんでしょうか」
「お前も冗談とか言うんだな」
栗山が笑うと、佐川は真面目な顔のままだった。
コイツも何でなんだか…
「まあ、なんだ。美人には美人の悩みがあったってことだな」
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