1989

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 高校三年生の文化祭最終日。  夏の長い陽も落ちて、校庭で後夜祭が行われている頃にはすでに真っ暗になっていた。  後夜祭ラストの花火大会。  校庭上空に打ち上げられる花火をよそに、翌日からの夏休みを前にして、至るところで告白とカップル成立のと言う母校名物の場面に出くわす。  もちろん、夢やぶれて山河ありで号泣している女子もいるのだけど、そん中で友人が私を木村さんの所に手を引いて行く。  彼女も彼女の友人に無理矢理連れて来られた様で、その顔には明らかに迷惑そうであった。  後夜祭も終わり、生徒達が学校を出て行く。  市道を挟んで右側を歩道を延々とできたてのカップルが時間を惜しむ様に歩く列が出来ていた。  左側の歩道は野郎ばかりとか、仲の良い男女混合のグループが左側の羨ましそうに身ながら歩いている。  私と木村さんは左側の歩道を特に話す事もなく歩いていた。  その後ろをお互いの友人達が憑いてくる。  「じゃあこのへんで」  木村さんは言った。  「あぁ。じゃあね」  私は言う。  こうして、これが在校中の最期の会話となり、私たちは高校を卒業し、お互いの消息はわからなくなった。
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