蜜月の檸檬

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 「面白いと言えば、面白いけど、話自体が面白いわけじゃないわ。情けない主人公の姿を本を読みながら妄想するのは楽しいけど」  普段はクラスメイトと話をする姿さえ見た事がなかったが、そう語る彼女はとても楽しそうであり、私はこんな風に笑うのかと思い、そんな心はさめざめと揺れているのを自覚した。  それからは、彼女が読書するのを邪魔にならない程度に話をする様になり、読書というものに興味が無かった私に、自分が読んでいる小説を要約して教えてくれたりしたのである。  そんな彼女との蜜月の日々も、中学を卒業して通う高校が別々なった事で終わりとなった。
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