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「おはよー…美琴、ちょっと遅れるって。」
「うん、聞いてる、聞いてる。んじゃ、暑いから車の中で待っててー」
「うん」
あのちょっとスポーツカーじみた黒い車が拓哉の車だ。
なんでも本当は、本当のスポーツカーが欲しかったのだけど、予算がアレだったためにこの車になったのだとか、なんとか。
車に入った瞬間、ふわりと男の匂いとタバコの匂いが体を包んだ。
拓哉の匂いは嫌いじゃない。寧ろ好きな方だ。あんなに泣き虫だった拓哉も、こんなカッコ良くなったんだな、とか思ったりする。
狼みたいなキリッとした(端整な)顔とは裏腹に、優しい言動にメロメロな女子も多数居る。拓ちゃんファンクラブがあるとか、噂もある。(ってか実際見たんだけど)
「…美琴、遅いなぁ…?」
私が車に乗ってから、既に15分は経っていた。
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