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"どうしてこっち向いてくれないのかな?
顔、見たいんだけどな"
そう言われても、顔見れない。
私の雰囲気が好きだという、不思議な人。
雰囲気ってどんなだろう? 気になる…。
でも…聞けないから。スニーカーの爪先を見つめ沈黙に耐えていた。
どれくらいそうしてたのか。
突然、頭に何かがカサリと乗った。
顔を上げてみると、キャップのつばが目の前にずり落ちる。
私に直接触れないように、怖がらせないように。
あなたの咄嗟の気遣いが、
ぶかぶかのキャップが嬉しくて、あなたを見上げた。
大きな手がつばを持ちあげて、真っ暗な視界が開けていく。
"やっぱりその笑顔がいい"
照れそうなことをさらっと言ってのけたその眼差し。そのえくぼ。他にもいっぱい…
もっと早く見ていれば良かったな。
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