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───幼馴染である俺とキーストンは、幼い頃に同じ様な境遇で親を亡くし、これまで共に助け合ってきた。
…そう、これまで…だ。
両親の生き方を認めない俺と、生き方や想いを受け継ごうとするキーストンでは、ハナから進むべき道が違っていた。
修了式を終えて帰路につくキーストンと、旅支度を済ませてこれから旅に出る俺……これからは別々の道を歩む事になる。
騎士養成学校の校門前で俺は立ち止まり、振り返ったキーストンに大きな荷物を揺らして見せる。
「…じゃあ、そろそろ俺は行くよ。」
「そう…か。次に会う時にはきっと、互いに夢を叶えている様…頑張ろう。」
そう告げたキーストンの顔が少し寂しそうに見えるのは、俺自身が寂しいと感じているからだろうか?
いや、確かにそれもあるが、このご時世…互いにいつ死んでもおかしくないから───
だから、きっともう…二度と会えない。
だが、キーストンも告げた様に、互いに夢を語り合って、叶える事を誓い合ったのだ。
「じゃあな、キーストン。」
「旅……頑張れ。」
「お前も、立派な騎士になれ。」
固い握手を交わし、俺たちは背中を向けあってそれぞれの道を進む。
───それが三年前…十八の春。
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