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◇
「姫、おとなしくなさってください!」
「だから違うって!」
リィンを助けに向かうべく、部屋の出口に立ち塞がる兵士を押し退けようと───
「…違いませんよ。」
「へ…?」
と、不意に答えられた声は兵士のものとは違うもの。
兵士の背後…開かれた扉の先にいた少女を見て、私は驚きに声を失った。
そこには、まるで鏡を見てる様な錯覚に陥る光景───そう、似てるのだ。
「連れて来たのは手違いです。兵達はわたしを追っていたので……ですが貴女も、ある意味では間違いではありません。」
「な、何わけわかんないこと!」
「…貴女は…私の従姉妹らしいです。」
「え…?」
戸惑う私を見て、目の前の少女は嬉しそうに微笑んだ。
「全て、お話します。 …まずはわたし達の父…都王に会って下さい。 王は…伯父として貴女に会いたいと。」
未だ混乱の最中にいる私の右手を少女がグッと握った。
「…行きましょう。」
「えっと、リィンは…どこなの?」
「ご安心ください…謁見の間で会える様、手配しています。 それにウェイバー様を此方に連れて来られたのは貴女ですよね? ……風が教えてくれました。」
「な、何でアイツの事…?」
しかし、そんな私の疑問に目の前の少女は答える事はなく、仄かに頬を染めてはにかむ様に笑う。
「すべては、向こうで。」
唐突にそう言ったシルファに連れられ、私はこの部屋を後にするのだった。
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