10.青のストライプとお姫様なんてロクな事がない

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◇ 「姫、おとなしくなさってください!」 「だから違うって!」 リィンを助けに向かうべく、部屋の出口に立ち塞がる兵士を押し退けようと─── 「…違いませんよ。」 「へ…?」 と、不意に答えられた声は兵士のものとは違うもの。 兵士の背後…開かれた扉の先にいた少女を見て、私は驚きに声を失った。 そこには、まるで鏡を見てる様な錯覚に陥る光景───そう、似てるのだ。 「連れて来たのは手違いです。兵達はわたしを追っていたので……ですが貴女も、ある意味では間違いではありません。」 「な、何わけわかんないこと!」 「…貴女は…私の従姉妹らしいです。」 「え…?」 戸惑う私を見て、目の前の少女は嬉しそうに微笑んだ。 「全て、お話します。 …まずはわたし達の父…都王に会って下さい。 王は…伯父として貴女に会いたいと。」 未だ混乱の最中にいる私の右手を少女がグッと握った。 「…行きましょう。」 「えっと、リィンは…どこなの?」 「ご安心ください…謁見の間で会える様、手配しています。 それにウェイバー様を此方に連れて来られたのは貴女ですよね? ……風が教えてくれました。」 「な、何でアイツの事…?」 しかし、そんな私の疑問に目の前の少女は答える事はなく、仄かに頬を染めてはにかむ様に笑う。 「すべては、向こうで。」 唐突にそう言ったシルファに連れられ、私はこの部屋を後にするのだった。
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