1090人が本棚に入れています
本棚に追加
1.突然の出会いと逃避行なんてロクな事がない
*
東の大国、ディストール帝国領の西…シュトラト公国との国境付近の森。
その森を黒いローブの人影が疾走していた。
足には、不思議な白い光が浮かび、その人影の走る速度は尋常ではないものだ。
「確実に捕らえろ! 我が帝国の魔術情報を他国に漏洩させる訳にはいかんッ!」
「いたぞ、こっちだ!」
「逃がしはせん! ───風よ、我が道を阻む全てを薙ぎ払え!」
帝国兵の手から放たれる刃の様な鋭さをもった風の嵐は、黒いローブの人影に迫るとその鋭さを以って辺り一帯を抉(えぐ)り、切り刻んでいく。
そしてそれは、その黒いローブの人影に対しても同様に。
最初のコメントを投稿しよう!