物語の終わり

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「あっちぃぃぃ!!」 猛暑の中、蝉の鳴き声をかきけして大絶叫が響きわたった。 「うるせーんだよ、いちいち」 「はいはい、わかりましたよーだ!」 このうざったい顔をしたやつの名前は中之条 剛。ちなみに剛はごうと読む。 名前のとおり暑苦しく、柔道黒帯のこれまた恐ろしいやつだ。 「しっかしまたなんで急にボランティア活動なんかしなくちゃいけないわけ?」 「てめぇが後輩泣かしたからだろーが」 先日、剛が下校中の後輩からカツアゲをしたせいで(本人は借りたと猛抗議しているが)たまたまいっしょにいた俺まで濡れ衣を着せられ、ボランティア活動に参加させられたのであった。 「んで、何のボランティア活動なんだ?」 「なんかこの前の地震で起きた地割れの整地らしいぞ」 「これまためんどうなの学生にやらすな…」 「まぁまぁ、気にするなって!」 剛はニカッと笑った。ちなみにこいつは暑苦しいがかなりのイケメンである。歯が真っ白だな。
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