天使のラッパは鳴り響く

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「早く立ちなさい……っ。なにやってんのよっ、愚図」  兼光の側でへたりこんでいた女生徒に肩を貸しながらそう呟いたのは、風町美砂だった。 「ほら!! あんたらも今の内に校舎の中へ走り込みなさい!!」  美砂の叫び声に正気を取り戻した生徒たちは、獣達がたじろいでいる今がチャンスとやっと気が付き、一斉に校舎の中へと駆け始めた。  美砂は逃げる最中に、行きがけの駄賃とばかりに白目を剥いて失神している男子生徒の脇腹を蹴り上げていった。  目を白黒とさせながら起き上がった男子生徒が懸命に手足を動かし始める。  それを追撃すべく駆けだした一頭に、兼光が一閃を浴びせる。  顔面を力いっぱいに貫かれたその獣は、眼球の一つをこぼしながら盛大に吹き飛ぶと、真っ黒な煙を上げて消滅していった。 「さあ、次はどいつだい? はは……。一度言ってみたかったんだ、これ」  兼光はそういって唇の端を釣り上げると、汗の滲む木刀の柄をぎゅっと握りなおした。
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