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「春ちゃん、大丈夫?」
「あ、ああ。けどこれは……」
春樹は朱音に礼を言うのも忘れ、胸に手を当ててひたすらに息を浅く早く吐いていた。
先ほど店内へと突っ込んでいった車が、もくもくと煙を上げて燃え始める。
どうやら無事だったらしいコンビニ店員が慌てふためきながら店内から飛び出して、二人に背を向けたままへたり込んでしまった。
黒煙を上げて燃え盛る車の窓に、人の腕と思しき影がぶら下がっていたが、やがてそれは朽ち果ててぼとりと地面に落下した。
春樹は朱音の両目を手のひらで覆うと「見るな」と小さく呟いた。
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