虹色の雪

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『パンパカパーン Sランク開拓地カクトク オメデトウゴザイマス』  正義たちが台地へと踏みると、不意に彼らのIFから間の抜けた音声が流れる。 『開拓 ヲ 開始 サレル場合 、「ケテル」 へ アクセス シテクダサイ』  龍川はさっぱり意味が分からないという様子で、両手の平を正義に見せた。 「取りあえずクラッカーの言った通り、IFを立ち上げてみましょうか」  正義がそういうと、それぞれがIFのスイッチを指で押した。  そう、安全地帯についての説明がなされたとき、クラッカーは『着いたらIFを立ち上げろ』と確かに言った。  いつもの見慣れた画面の中央に、見慣れないテロップが出ている。  『ケテルへアクセスし、開拓を始めますか?』  そう書かれていた。  テロップに指で触れると、『YES』『NO』の選択肢が現れる。  正義は特に警戒することもなく『YES』の文字に触れた。  すると、クイズに不正解をしたときのような残念な音が聞こえた後で、『開拓を開始できるのはギルドのマスターだけです』と、新たなテロップが出現する。 「やっぱり騙されたんじゃないですかね、クラッカーに」  龍川たちは焦りと落胆を露わにしてそう言うと、存分に肩を落として見せた。 「うーん……。そうだ、物知り少年の児玉くんに訊いてみましょう」  正義は台地の入り口に姿を現し始めた学生チームの中に浩太の姿を見つけて、笑顔で手を振った。
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