風系能力者

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『もう謎の組織なんていねぇ……』と悟り、いっそのことあっちな感じの能力を作ってやると決意して、体の周りに幾重の空気を纏わり付かせて光の屈折をほにゃらららら~しようとしたけど、あんなものはマンガの世界だけだった思い知らされただけだったよ。 そんなんで光の屈折を変えて、人一人を見えなくするとか、出来たら苦労しねぇよ。 結局が俺が覚えた技は日常生活に役立つ小技と手を使わないスカートめくりと空を飛ぶことだけってしょぼすぎだろ。 まともなの空を飛ぶことだけじゃん。 そりゃあ空を飛ぶのは全人類の夢だけどさ、そんなことよりもかわいい彼女が欲しかったよ。 しかも、空を飛んでるところを見られたら面倒なことになるだろうから、迂闊に空も飛べないしな。(ちなみにこの能力のことを知ってるのはおれだけです。他の誰にも喋ってません。) 結局、能力者に目覚めたからといって、世界が極端に変わるわけでもない。 俺は俺でしかないし、世界も顔を変えるわけでもない。 ただ見方とかがほんの少し変わるだけ。 世界は当たり前のようにそこにある。 能力に目覚めたから、頭が良くなるわけでも、女の子にモテるわけでも、運動神経が良くなるわけでもない。人間はやっぱり地道にがんばるのが一番だなってことが、風系能力に目覚めて気づけたこと。 それに気づけたから、まあ黒歴史は作ったけど、なんだかんだ役に立つし、まあ良かったかな。 でも願うなら、この能力がほかの人のためになったらいいな。 おっと、そろそろバイトの時間だ。 それじゃあ今日も地道にがんばってきます。
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