尖閣諸島

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ビーム砲やらレーザー兵器やらレールガンやらプラズマキヤノンやらと男のロマンを詰め込んだような巨大戦艦が海から現れたと思いきや、空を飛ぶ航空母艦やら円盤型の未確認飛行物体やら、水上スキーのように走る自律歩行兵器やら、ホバークラフトで海面を滑るように走る突撃強襲艇、果ては機械仕掛けのドラゴンまで現れてもうアメリカ軍はてんやわんや。たいした攻撃もできずに最新鋭艦や最新鋭戦闘機。 しかも驚くことにそれだけの被害を与えておきながら双方の死者は0という数字をおさめている。 驚くほどのテクノロジーの差だった。まさしくアメリカ軍の惨敗だった。 世界の警察たるアメリカ軍があの有様では一体この先はどうなるんだ? 得体の知れない相手に不安と困惑と恐怖を覚える世界の人々。しかし尖閣諸島からはなんのアクションもなかった。 そんな不気味な沈黙を守っていたとき、突然島を覆っていた鉄の壁が突然開き、中から得体の知れないテクノロジーの情報が世界へと流れた。 それが7年前である。 そしてときは流れ、現在2023年。 これまでの技術の発達は歴史史上最大であると言われている。 今町を見渡せば人型ロボットが町を闊歩し、上空には空を飛ぶ車が往来し、地球のありとあらゆるエネルギーを集める地球発電所が町の電気を動かす等、10年前とは全く別世界になった。 ここからでは見えないが人類は月や火星への移住にも成功し、現在は人口惑星への建設に取り組んでいる。 あの男が何者なのかはわかっていない。 教科書には世紀の大発明者として載っている。 私的な感想を述べれば、彼は大発明者ではなく、淀んだ世界を吹き飛ばした大革命者だと私は思っている。 ちなみに尖閣諸島はその男の偉大さを讃えるために、世界文化遺産として登録され、現在は完全中立地帯になっている。
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