骸骨兵団

5/6
前へ
/29ページ
次へ
「なあ騎士型スケルトンよ。おまえは生前、魔物を殺したことはあるか?」 「?まあ、ありますが。」 騎士型スケルトンは質問の意味をわかっていないっぽいな。 「そうか。そういやおまえはルスぺニウムの騎士だったな。あそこは戦争が堪えなかったな。どうだ、敵国の兵士を殺したことはあるか?」 「ありますよ。」 騎士型スケルトンは臆することなく堂々と答えた。彼にとってそれはある意味誇りとも呼べるものなのだろう。 「なんのために戦った?」 「自国、牽いては国民を守るためにこの命を散らしました。故に私は守るべき人間に手を掛けることはできません。」 「なるほどなるほど。なかなかの誇り高い騎士様らしいな。本当はこっから『おまえは手柄をたてるためにも戦っただろう』とコンボに繋げるつもりだったがそうはいきそうにないな。 ならば切り口を変えよう。おまえは魔物を殺したと言っていたな?なんのために?」 「やつらが国民の安全を脅かしたからです。」 こっちの質問に訝しみながらも堂々と答える騎士様。やりやすくはあるがやりにくいな。まあいいや。 「そうだな。害があるから殺す。人間にとっては魔物なんて悪そのものだからな。俺もそう思ってた時期はあったからな。だがな悪魔に近づき、人間の敵になってから、わかった。人間も悪魔と変わらないってな。」 「なっ!!それは侮辱だ!!人間にはたしかに悪性な部分もあるが、本来はもっと誇り高きところが、」 「いいや違わないね。スケルトンになってからわかったが、人間は悪魔を敵視するくせに悪魔を見たら悪魔以上に残虐に悪魔を殺すんだ。俺達スケルトンなんかは、初心者勇者のレベル上げのために上級者勇者に捕らえられ、虐殺されることなんてざらだ。ほかにもモンスターを捕らえては討議場で殺しあわせるなんてこともよくあることだ。血みどろになりながらもモンスターが戦う姿に民衆は興奮を覚える。そこに同情なんて感情はない。なぜなら俺達モンスターは魔なるものだからな。死んでざまあみろと思ってもその死を慈しむものはいない。」 「それは……!!」 「あんたのいいたいこともわかるさ。俺達だって人間をいたぶりながら殺すし、なんの力もない民衆でさえも遠慮なく殺すからな。だがな、そういった側面を見せられるとお互い大差ないなと思うわけだよ。」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加