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倫理感を持ったスケルトンのなかには、人間を殺すことが出来ずに、魔王軍を離れるやつもいる。だが、スケルトンと人間は共存できない。人間はスケルトンを見れば魔なるものとして全力で殺す。わざわざスケルトンを殺すために掛けだし勇者が殺しに来ることもある。
スケルトンは痛みを感じることはない。だが心はある。
やがて倫理感をもったスケルトンはそんな人間に静かに絶望し、魔王軍へと戻ってくるのだ。
「まあ悪魔と似ているってのはちょっと言い過ぎかもな。ただ人間のなかにはあんたのような善人もいれば、同じ人間にさえも残虐に振る舞う悪魔のような人間がいるわけさ。もうなんかそんなの見せられちゃあいろいろ面倒くさいし、どうせスケルトンだからってことで人間を殺すのさ。」
人通り語り終えると騎士型スケルトンは微妙な顔で立っていた。
「話長い上になに言いたいのかわからないよ。」
行商人型スケルトンがツッコミを入れてくる。
「あちゃー。話が長いけどまとまらないのは俺の生前からの悪い癖だな。
よし。じゃあ簡潔にまとめよう。
騎士型スケルトンよ。俺達は人間だったころに未練はないんだ。勇者が魔物を狩って手柄をたてるように俺達も人間を殺し手柄を得るんだ。ただ…」
ここで一旦区切る。言うかどうか迷いながら口を開く。
「それでも人間に未練があるなら、おまえのやりたいようにやりな。幸い俺達は魔王に縛られて動いてるわけじゃない。なかにはそうゆうやつもいるがな。基本的に俺達は自由だ。だからおまえのやりたいようにやりな。人間を守りたければ守ればいいし、守る気がないけど戦う気がないなら僧侶かなんかに滅っされるのもよし。俺達は魔なるものかもしれないが、その心まではそうと決まったわけじゃない。もしおまえが人間の味方であり続けたのならスケルトンでありながらスケルトンではないなにかに変貌するかもしれないぞ。」
そう言うと騎士型スケルトンは神妙な顔をしながら一度俺に頭を下げ、どこかへと立ち去った。
(ま、基本的には精神まで魔に毒されるけどな。)
おそらく、人間の味方になりにいった騎士型スケルトンに心の中でつぶやくと鐘の音が鳴り響いた。出陣のお知らせだ。
「さて、ポイント稼ぎに行きますかー。」
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