出会い

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 問題の転校生だが、ルックス的には先程出会った赤眼赤髪の少女にも劣らないが、無駄に声が可愛い。  黒板近くの段差につまずいてでた声を聞いた時、もう世界一可愛いんじゃないかと錯覚する程可愛らしかった。喉のどこかに声優さんが住み着いているんじゃないかとか思ったし、初めて「土下座でもなんでもするんで耳元で囁いてください!」と叫ぶとこだった。しかしさすがにまずいと思い、思いとどまった。 「はぁ……びっくりした」      「おい、大丈夫か『空井』?」  担任が転校生に向かって言う。 「あっ、はいっ! 大丈夫です、先生!」  転校生は元気よく答える。 「そうか、なら早速だが黒板に名前を書いてくれるか? みんなに自分の名前と字を覚えてもらうために。間違っても先生の名前を書くんじゃないぞ!」  そう言って担任は近くに置かれていた白いチョークを手に取り、手渡した。それを受け取ると転校生は黒板の方に向き、ゆっくりと、丁寧に自分の氏名を黒板に描く。描かれた字は、今どきの女子にしては珍しい、凛とした様子の字だった。  作業を終えると、転校生はこちらに振り返り「書けましたぁ」と言い、天使のような笑顔をクラスのみんなに振り撒いた。 「か、かわええ……」 「はぁはぁ……」 「おっぱじめちゃうけど……いいよね?」  男子たちが口々に呟く。おいっ、最後自重しろ、あいつらと一緒の扱いになるぞ。  男子は予想内の反応を示した……が、問題は女子の反応。  可愛い子がクラスにやってきて、あんな可愛い笑顔を見せつけられたら普通は「ケッ、可愛さアピールかよ」「隊長、あんなメス豚やっちまいましょう」「そうだな……よし野郎共! あいつの自慢の顔面を今の政治のようにボロボロにするぞっ!」とかいう反応を示すと思ったのだが違った。  何故か男子よりもメロメロになってしまった。
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