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両親が異世界へと消えた後、僕の母親代わりになってくれたのは京子の母親である『御手洗東子』さん。
性格は穏やかで優しく、さらに美人で巨乳で、あと黒髪ロングで……って人の親を何エロい眼で見てんだ僕。おちつけ、おちつけ。とりあえず、すみません東子さん……。
「ねぇ? 何ドアに向かって何回も何回も頭振ってるの? 頭痛くなっちゃうよっ」
「えっ!? いや、これはその……なんだ……」
言葉に詰まる僕。当たり前だ。好きな娘に奇行を見られたんだぞ。この後の言葉次第でどうにかなるかもしれないが、どうにもならない可能性の方が高いんだ。考えろ……考えて考えて考えつくせ……僕のノミほどのちっぽけな脳みそでもそれぐらいのことぐらい考えられるだろう。いや……待てよ。そもそもノミに脳みそなんてあるのか?
「ノミさんにも脳みそはあるよっ翼君!」
「あっ、そうなんだ。ありがとう奏多……」
……ん? 何で僕の考えてることわかったの?
僕は恐る恐る訊く。
「……ねぇ、なんで奏多は僕の考えてることがわかったの……?」
微笑を浮かべ、僕の唇に人差し指を添え、一言。
「ひ・み・つ」
と言い、鞄を肩にかける。
「一緒に帰ろっ、翼君! ほら、早くっ!」
奏多が僕の手を引っ張る。
「う、うん……」
僕は引っ張られるまま、奏多と共に教室を後にした。
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