巡桜恋

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『一君、次どこのクラス? 僕、次、3年の数学のテスト監視なんだけど… 美樹ちゃんの所なんだよね』 総司が美樹のクラスか… 『俺は1年の国語だ その次が2年の英語 うちのクラスだ』 『一君、うちのクラスの英語なんだ… じゃあ… 麻紀子ちゃんの悩んでる姿 よく見ておいてね』 麻紀子を悩ませる為に作ったと言っても過言ではないあのテスト 平均点はどれだけのものになるのだろうな… 『…斎藤… お前…顔色悪くねぇか?』 左之が俺の顔を覗き込む 今朝から寒気がするとは思っていたが… やはり…気のせいではなかったか 『…昨日も総司と遅くまでここに残ってたみてぇだし… テストが終わったら少しは休めよ? それを考えると俺たち体育科の教師ってのは 少しは楽なのかもな なあ新八…?』 『…だな でもよ…ほんとにキツいなら監視、俺が変わってもいいぜ?』 『…いや…大丈夫だ… すまない…心配かけて』 このような事で自分の仕事を人に押し付けるなど 許されるはずがない 体調は確かに著しくない だが 明日までのテストが終われば 少しはゆっくりできるはず 常備薬を栄養ドリンクで流し込み とりあえずは 今をなんとか凌ぐことが先決だ ━━━『…斎藤さん? あまりご無理なさらないで下さいね 倒れてしまったら… 会えなくなってしまいます…』━━━ ふと昔の美樹の言葉が頭を過った 思わず綻んでしまった顔を総司あたりに見られないように 足早に教務室を後にした 『…ねぇ… 一君…笑ってなかった…?』 『美樹ちゃんの事でも思い出してたんじゃねーのか?』 『…とりあえず今のところは大丈夫そうだな…』
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