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『…ねぇ一君
美樹ちゃん、また何か思い出したかもよ?』
今日のテストを全て終えて教務室に戻ってきた総司
これ…数学のテストね
と
俺の机にテストを置いた
『…また頭痛でも起きたのか?』
『…ううん、今日は頭痛はなかったみたいだけど
なんか僕の顔を見て
不思議そうな顔をしてたんだよね
多分だけど…
何かしらの記憶が浮かんだんじゃないかな』
そう…か
やはり山南さんが言うように
麻紀子よりも美樹の方が早く思い出すのかもしれないな…
後はきっかけなんだろうが…
『ところで一君、具合はどうなの?
まだ良くないなら
山南さんがいい薬持ってるから行ってきなよ』
山南さんの薬…
何やら少しだけ不安が過るのは
多分俺だけではないはず
だが
今はそのような事
言ってられるような状況ではない
まだ一日テストが残っている
この気だるい身体が少しでもよくなれば…
それに越した事はない
正直…
かなり怠い
『…山南さんの所に行ってくる
…あ…総司』
『…なに?一君』
『テストが終わった後の麻紀子の様子が
少しおかしかった
だが
本人は何ともないと』
『…あの問題…かな』
思い当たる節がありそうだな…
まあ
麻紀子のことは総司に任せればいい
呟く総司を目端に捉えたまま
俺は教務室を出た
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