巡桜恋

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テスト中に突然頭に過った光景 なんだかいつまでも腑に落ちなくて 私の足は保健室に向いていた 今日はもうテスト終わったし 他の生徒もいないはず 山南先生なら きっと 何か教えてくれるかも ガラガラ… 『…失礼します… 山南先生?いますか…?』 『おや…美樹さん? どうしました? 何か私に御用ですか?』 山南先生がいつもの笑顔で迎えてくれた 『あの…』 話出そうと口を開いた瞬間 トントン…ガラッ… 『山南さん… 少しいいだろうか…』 この声… 『…斎藤君…? あなたまでどうしたんです…? 少し顔色が優れないようですが…』 振り向くと斎藤先生が 明らかに具合悪そうに立っていた 一瞬先生と目が合うも その目は虚ろで 『…風邪が悪さをしましたかね… とりあえず薬を出しますから飲んでみてください …と、すみません 私、これから土方君に用事があるんでした… 薬は私の机の二番目の引き出しにあります 美樹さん? 後は頼んでもよろしいでしょうか?』 え…っ…?! そんないきなり言われても…っ… 山南先生は相変わらずニコニコと笑っていて まるで私の気持ち わかっているような 隣で座る斎藤先生に目を移すと 確かに具合悪そうに身体を押さえている 仕方ない…よね… 『…わかりました 私でよければ…』 頷いた私に安心したように山南先生が微笑む 『…では… 頼みましたよ…?』 ガラッ…パタン… ガチャ… え…ウソッ… 今…鍵閉めた…?
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