巡桜恋

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《すれ違い》 朝食を食べ終えて 洗面台の前で ドライヤーをかける麻紀子と マスカラを付ける私 『美樹ちゃーんっ 今日のテスト終わったら 明日は土曜日だし~…』 『買い物ー?』 『うんっ!! 欲しい服とかあるのっ!!』 『いいよ? 私も服欲しいし…』 『えっ?何っ? 聞こえない!!』 『いいよって言ったのーっ!!』 『聞こえた聞こえた!! じゃあ約束ねっ』 私は鏡に映る麻紀子に 指で丸を作って 頷いて見せた ああっ… マスカラはみ出ちゃった 『美樹ちゃん マスカラ終わった? 貸して? …あ…はみ出てるよ?』 『…わかってる…』 『…私、先に制服のリボン付けてこよ… あ…美樹ちゃん? ちゃんと直しておかないと… 斎藤先生の顔が近付いてきたら… …ばれちゃうよっ?』 ……っ…麻紀子っ!? 何言って…っ 朝から動揺させないでよっ… 鏡に映る赤い顔の自分を見ながら そっと額に手を充てた 斎藤先生の唇の温もりが まだ…残ってる… 先生… 具合…よくなった…かな…
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