674人が本棚に入れています
本棚に追加
《すれ違い》
朝食を食べ終えて
洗面台の前で
ドライヤーをかける麻紀子と
マスカラを付ける私
『美樹ちゃーんっ
今日のテスト終わったら
明日は土曜日だし~…』
『買い物ー?』
『うんっ!!
欲しい服とかあるのっ!!』
『いいよ?
私も服欲しいし…』
『えっ?何っ?
聞こえない!!』
『いいよって言ったのーっ!!』
『聞こえた聞こえた!!
じゃあ約束ねっ』
私は鏡に映る麻紀子に
指で丸を作って
頷いて見せた
ああっ…
マスカラはみ出ちゃった
『美樹ちゃん
マスカラ終わった?
貸して?
…あ…はみ出てるよ?』
『…わかってる…』
『…私、先に制服のリボン付けてこよ…
あ…美樹ちゃん?
ちゃんと直しておかないと…
斎藤先生の顔が近付いてきたら…
…ばれちゃうよっ?』
……っ…麻紀子っ!?
何言って…っ
朝から動揺させないでよっ…
鏡に映る赤い顔の自分を見ながら
そっと額に手を充てた
斎藤先生の唇の温もりが
まだ…残ってる…
先生…
具合…よくなった…かな…
最初のコメントを投稿しよう!