巡桜恋

111/232
前へ
/232ページ
次へ
キーンコーンカーンコーン… 『…ほら時間だ 全員ペンを置けー これで中間終わりだ みんなお疲れさん 今日はこのまま午前放課だから帰っていいぜ 気を付けて帰れよ』 原田先生の声で みんなが ガタガタと帰宅準備を始める はあ… やっと終わったー… 『麻紀子ちゃんっ!! 今日はこのまま帰るでしょ? 一緒に帰ろ?』 千ちゃんの顔がイキイキしてる きっと 私も同じ顔してるよね テスト後の開放感って 堪らない 『うんっ… 帰り、どっか寄ってく?』 『いいよ♪ どこ行こっか?』 ん~… 『餡蜜!!』 『餡蜜!!』 あはは やっぱり? 行き先が決まった私達は 帰り支度を整えて 足早に教室を出た 廊下を歩いていると 向こうから女の子に囲まれて歩いてくる 沖田先生… 相変わらず…人気… 『先生ー? あのテストのサービス問題って意味あるんですかぁ?』 えっ… ドクン… 『へぇ…君、あれ訳せたの? 凄いじゃない』 ドクン… 『昨日帰ってから 必死で調べたんですよ!? …で… どうなんですか? 意味あるんですか?』 ダメ… なんか、胸が痛い… 女子生徒の言葉に笑顔で答える先生に 目を逸らしたい衝動 …嫉妬…? まさか… 私が…? その場から立ち去りたい 見たくない 質問の答え …聞きたくない… 私… いつの間にこんな嫉妬深くなったんだろう… 『…千ちゃんっ… 早く行こっ!!』 『…ちょっ…麻紀子ちゃんっ!?』 千ちゃんの腕を引っ張って 先生から背を向けて歩く 後ろから 『…内緒』 と言う先生の声が聞こえた
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

675人が本棚に入れています
本棚に追加