かなたん伝説

１

友達Ａ｢そうそ～う！Ｙ子財布にほんとにゴム入れてたの！
お金はたくさん貯まったら嬉しいけど、さすがにゴムが女の子の財布に入ってんのは、キツいよね～｣

友達Ｂ｢あぁ～、きついかも。あたし友達がそんなことしてたら引くわ～｣

それを聞いたかなたんは青ざめた。

なぜなら、友達Ａが喋りだす直前に自分が言おうとしていた言葉は紛れもなく自分の財布にもゴムが入っているということ。
そんな事実がばれれば、友達Ａも友達Ｂも自分を軽蔑してしまう。

(友達ＡとＢはあんな風に言ってたし、よく考えてみれば女の子が日常的にゴム持ち歩いてるなんて、印象よくないよね。あのゴム、御守りだけど捨てようかな……)

その日は特にこれと言って何も変わったことはなく、放課後いつものように帰宅し、いつも通り布団に入りすぐに意識を夢の世界に飛ばした。

その日見た夢は、１年前公園で出会った優しく穏やかなおじいさんとの思い出の夢。