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「アンビシオン? ――あぁ、あの2人のお姉さんですか!」
少年はシードの苗字を繰り返すと突然思い出したかのように手を打ち、警戒を解いた。
どうやら彼女の兄弟と知り合いのようである。
「なら、少々お待ちを」
「いえ、いるのが確認できれば今日は良いんです。 また来ますから」
シードがそう言うと、彼は『そうですか?』と口にして首を捻った。
どうにか少年が納得すると、彼女は続ける。
「……今度来た際には、頼んでも良いかしら? えっと……」
相手が言葉に詰まると、少年は名乗っていなかった事を思い出した。
彼はいつもなら見せない慌てた様子で口を開く。
「僕は、アイレです」
「アイレ君ね、今回はどうもありがとう」
言ってから彼女は少年――アイレに背を向けた。
それを確認した彼は教室に向かおうとする。
しかし背後から影が近づいて来るのに気づき疑問に思った彼はふと振り返った。
直後、鈍い音と共にその視界は暗転した。
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