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何となく身の危険を感じた私は さりげなく距離を空ける。 その時、薄暗い視界にきらりと 光るものが入る。ナイフだ。 それは男のどちらかの手に握られていた。 瞬間、私は先程とは比べ物にならないくらいの危険と恐怖を感じ、その場から走って逃げて大声で 叫びたい衝動に駆られた。 しかし足がすくみ、のどは上手く空気を取り込めず声が出ない。 私はその場で呆然と立ち尽くしてしまった。 男は私には目もくれず、あっさり通りすぎた。 その直後、私の後方で悲鳴が聞こえる。 その数がどんどん増える。 110番!119番!誰か!という叫び声も聞こえた。 私は動けず立ち尽くしたまま、 119番ってことはすでに怪我人が出てるんだな、とやけに冷静に 考えていた。
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