追いかける男

5/5
前へ
/9ページ
次へ
               目を覚ます感覚があった。   生きてたのかと無感情に考える。               そういえば刺されたはずなのに、痛みも血が流れる感覚もない。 そもそも刺されたのではなく、 気絶させられただけだろうか。                草の上で私は寝転がっていた。 目だけ動かして少し見回すと、 自分が今現在通っている学校の近くの川沿いの土手と橋が見えた。               私のすぐ横に、私を刺した男もいた。なぜか私はもう逃げようと 思わなかった。                       辺りは薄暗かった。      そのためか男の表情はほとんど 分からない。                        そう認識した瞬間、男は急に私に馬乗りになった。       普通なら暴れるなり大声をだすのだろうが、私は何をする気にもなれなかった。         ただ人形のように、じっとしていた。明らかに異常事態なのに、 怖いとも何とも思わない。                  もしかしたら今度こそ殺されるかもしれない、と思った。    だが、予想とは裏腹に、男は私の胸や太ももをまさぐり始めた。                瞬間、私はものすごい嫌悪と苛立ちを覚えた。力任せに叫んだり 暴れても、男の力には勝てなかった。                                                          という所で目が覚めた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加