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??「──お…きょ…や」
どこからか誰かの声が聞こえてくる。
??「おきろ…京弥!」
目の前には見知った顔があった。
京弥「──あ…く…る…??」
僕の言葉に、その少年は優しく微笑む。
明「おう、こんな所でお前が寝てるなんて珍しいな。どこにも居ないから探し回ったんだぞ?」
あたりを見渡すと、そこは学園内に設置されている中庭のベンチの上だった。どうやら寝てしまったらしい。
京弥「ご、ごめん…っ。ちょっと横になるつもりだったんだけど熟睡しちゃったみたい」
明「まぁ、こんな天気のいい日だからな。寝てしまいたくなる気持ちはわからんでもないがな」
──4月。出会いと別れの季節。僕の寝ていたベンチの横でも桜が満開していた。
明「──と、もうこんな時間か。ほら、もうすぐ始まっちまう!いくぞ、京弥ッ!」
時計を見るなり慌てて駆け出す明。
京弥「え!?い、行くってどこにさっ!?」
明「何言ってるんだ?入学式に決まってるだろう」
──そうだ。今日は…入学式だった。
明「“あいつら”には、もう席を取らせに行かしてある。もちろん、一番良い席をな」
京弥「一番良い席か…“美々”の晴れ舞台だし。やっぱ、良い席で見たいよね」
幼馴染メンバーの最年少でもある美々がついに、この学園へと入学する。
京弥「また、昔みたいにみんなと一緒に登下校できるね」
明「あぁ、そうだなッ」
──そんな話をしながら、僕たちは入学式が行われる講堂へと足を運ぶのであった。
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