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淳子はドアを少しだけ開けて、俺の方を見ながらそう言った。
「どした?」
「あの、ちゃんと説明しておこうと思って」
「あぁ、頼むわ」
「あのね?」
そう言って淳子は、俺に説明してくれた。
話を聞くと、お父さんの転勤でまたこっちに来ることになっていたが、転勤が別の人になってしまったらしい。
だけど、淳子は独り暮らしをしてもこっちに来たかったらしい。
そうわがままを言っていた時に、
お母さんがうちの母さんに相談して
独り暮らしが心配だったらうちで一緒に暮らせばいいと言ったらしい。
「なるほどな」
「…ぅん」
話終えると何故か淳子は泣きそうになっていた。
「ちょっ、どした?」
「ゴメンね…俊は迷惑だったよね」
「バーカ。迷惑なんかじゃねーよ。ただ、これから1年お前と暮らすっていきなり聞かされてびっくりしただけ」
「ほんとに?」
「あぁ。だから、泣くなって」
「グスンッ、うん。ありがとう」
「じゃあ、これからよろしくな」
「うん」
これで淳子と暮らす理由もようやく理解して、今日はゆっくり寝ることができるはずだった。
「あ、そうだ。忘れてた」
「なに?」
「麻里子おばさんが俊と一緒に部屋使えって」
「へ?」
「あの…いいかな?」
「淳子、ちょっと待っててな?トイレいってくる」
そう言って俺は真っ直ぐリビングに向かった。
「ちょっとー!」
「なんだー?大声だして」
「一緒に住むのはわかるけどさー、何で同じ部屋なんだよ!」
「あんた何言ってんの?部屋がないからに決まってるじゃない」
「へ?」
「じゃ、おやすみー」
そう言い残して、
父さんと母さんは自分たちの部屋に戻った。
(なんて親だ…)
別に嫌な訳じゃないけど、
淳子と2人で同じ部屋って…
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