1 再会

5/14
前へ
/25ページ
次へ
自己紹介を終えた淳子は、小さく礼をした。 「よし!それじゃぁ前川、席はあそこの早坂ってバカなやつの隣だからな」 「先生ー。俺はバカじゃないですよー」 「なぁに言ってんだ早坂。誰がどう見てもバカだろ」 「はぁ…もぅいいです」 「じゃあ前川。席について」 「はい」 先生に指示されて、淳子は自分の席につく。 「よろしくね」 「あ、あぁ。よろしく」 (俺のことわかんねーのかな?) 淳子とは幼馴染みで中学2年を境に会っていなかった。 それは、淳子が両親の事情で転校してしまったからだ。 つまり、約4年振りの再会な訳だ。 「とりあえずこの時間は特に何もない!午後からもう一度ホームルームやって終わりだ!ってことで、お前ら騒ぐなよ!じゃあな!」 そう言い残して、先生は職員室に戻っていった。 「じゃあなってなんだよ」 呟く。 「え?早坂くん何か言った?」 「え?あぁいや。別に?」 「そう?」 俺のことを忘れたのか、気付いていないのか分からないけど、ちょっとだけ寂しくなった。 「あの先生面白いね」 「そうか?ただ熱いだけじゃない?」 「でも、面白いよ」 俺のことが分からなくても、 久しぶりに淳子と話せて嬉しかった。 話に夢中になっているとチャイムが鳴った。 それと同時に優子と智が俺の席にやって来た。 「俊ー。飯食おーぜー!」 「そうだな。淳子も一緒に食わないか?」 「え?いーの?」 「淳子ちゃんも一緒に食べよーよ!」 「ありがとう!」 礼を言った淳子は、すごく嬉しそうだった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加