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「俺の恋人になにしてんの」
低く威圧感のある声が頭上から聞こえてきた。
「章太くん…」
「恋人?お前ら付き合ってんの?」
大スクープじゃねえか!
尻餅をついていた先輩が勢いよく立ち上がり笑い出す
思わず俯いた俺の頭を撫でて
「だから?」
益々低い声を出す
……。
凄く怒ってる……。
「は?」
「だからなんだっつってんだよ……俺達が誰と付き合ったっていいだろ?他人のお前になんの関係がある。迷惑だってかけてないだろ。」
静かに言うから怖さが増す
「章…」
「仁は黙ってて。」
「…」
「大体人の恋人に手出そうとしてた奴が言える台詞か?」
手?
「な…っ」
「目……語ってたよ。欲しいってね。」
「は?欲しい?」
「仁は聞かなくていいよ」
「う…」
(……耳わざわざ塞がなくても…)
「……お前……」
さっきの言葉のせいか先輩が章太くんを睨みつけてる…
「気持ちわかるけどね。人のに手を着けようとか悪趣味じゃない?今回は見逃してやるよ。お前だって人に話せないだろ。無理矢理連れて行こうとしたら恋人が現れて……とか格好悪すぎるし。だから……」
「早く失せろ。二度と仁にちょっかい出すんじゃねえ」
「っ」
慌てて走り去る先輩
と同時に両耳から放された手
そして首に感じる髪とおでこの感触
「章太くん?」
「ごめん……ちょっとだけこうさせてて。」
はあぁ
ため息と共に吐き出された言葉
ああ……そうか。
「はははっ」
「な、なに笑ってんだよ……」
むすっとした声
可愛いなあ……
「別に?」
「……。格好悪いだろ」
「章太くん?」
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