クリスマス

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「……待ち合わせしてるんで。すみません。」 「そう言わず~!!」 するっと伸びてきた手に右腕を掴まれる ………面倒くせえ… 「放してください」 自分でもびっくりするくらい淡々と言葉を連ねただけの冷たい声音だった 「冷たいな~。いいじゃん!ちょっとだけ!な!」 「……本当、やめてください」 冷たさだけでは意味がないのか、睨んで抵抗してみる。 俺だって男なんだから……振り払えると思っていたのに。 「…っ」 「暴れたら痛いだけだよ……」 さらに強く握り締められて右腕が悲鳴を上げる。 「…ついてきなよ。痛みなんか無くなるよ?」 にたあ。 そんな擬音が似合う気持ちの悪い笑い方 「い……っ」 (章太くん……っ) 待ち合わせしている愛おしい人の名前を思い浮かべる ヘタレだけど……助けてくれる。 絶対。 そう信じ声に出して叫ぼうとした瞬間 「い…ったあっ」 いきなり先輩が吹っ飛んだ その衝撃で後ろへ倒れる俺 冷たい石へぶつかる光景が頭に浮かび思わず目をつむる が……背中に当たったものは冷たい石なんかじゃなくて。 暖かくて柔らかいものだった。
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