第1章 始まり

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矢崎拓哉と名乗ったこの男は、 優しく手を引きながら、真っ直ぐに ホールへ向かう。 「大丈夫かな?もう」 あたしの頬からは、涙はもう 乾いていた。 「大丈夫…です。梨希と言います。」 「ぅん!知ってるー」 「へ?」 マヌケな声を出す梨希。 ニコニコしたままの矢崎拓哉。 そして、彼は人混みのなか、あたしの 耳元に近づき… 「助けてやったんだから、今日から お前は俺の奴隷だ。」 は、はぁぁぁぁあ!? あたしはばっと顔をあげて、 彼の顔をみる。 ニコニコ笑ったままなんで、 ちと怖い。 「あ。始業式が始まっちゃうよ! 神埼さん、行こっか♪」 今の語尾に♪が付いているように 聞こえたのはあたしだけかな…? 彼が列に並んだので、あたしも 女子の一番前に並んだ。
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