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矢崎拓哉と名乗ったこの男は、
優しく手を引きながら、真っ直ぐに
ホールへ向かう。
「大丈夫かな?もう」
あたしの頬からは、涙はもう
乾いていた。
「大丈夫…です。梨希と言います。」
「ぅん!知ってるー」
「へ?」
マヌケな声を出す梨希。
ニコニコしたままの矢崎拓哉。
そして、彼は人混みのなか、あたしの
耳元に近づき…
「助けてやったんだから、今日から
お前は俺の奴隷だ。」
は、はぁぁぁぁあ!?
あたしはばっと顔をあげて、
彼の顔をみる。
ニコニコ笑ったままなんで、
ちと怖い。
「あ。始業式が始まっちゃうよ!
神埼さん、行こっか♪」
今の語尾に♪が付いているように
聞こえたのはあたしだけかな…?
彼が列に並んだので、あたしも
女子の一番前に並んだ。
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