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高校の卒業と同時に付き合い始めた彼女がいた。
お互いがお互いを気にしながら言い出せない友人関係だった。
3年はクラスは違ったものの、間に挟んだ友人との繋がりで一緒にいる事が多かった。
意識をしたのはいつだったか。
すごく自然な感情の移り変わりだったように思う。
卒業式の日。
この最後に伝えなければ、と校舎内を走り回り同じように息を切らせた彼女を見つけた。
笑って、「好きだ」と告げた想いは、泣きながら笑った彼女の「私も」という返事に満たされた。
携帯を開いて“絡んで”くれる暇人はいるかとチェックする。
友人の殆どは平日は仕事で学生で今は授業中だろう。
もし学生が絡みに来た場合、大人として注意すべきだろうか。
そんなくだらないことを考えて目に止めたのは、
「あれ?」
ポツリとコメントを残してくれた初訪問の“彩夏”さん。
---- >>彩夏さん
はじめまして、コメントありがとうございます。
朝早くに起きてしまうと、寝るのが勿体ないんですよね ----
コメントを返して“彩夏”のページへ移動する。
「ど・ん・な・ヒ・ト・か・なっと」
新しい知り合いは遠くても近くても大歓迎だ。
数が欲しい訳ではないが、理解しあい、意見しあえる誰かに出会える可能性は捨てられない。
「まぁここから恋愛なんてありえないけど
…プロフ画像は風景か」
ちなみに俺は自分の顔を貼りつけている。
オールバックに眼鏡をかけた証明写真。
昔彼女と撮った、あえてプリクラにしないという、ふざけた写真を。
名前も本名の“コウガ”で登録してる。
リア友が見つけやすいようにって言うのが理由の一つ。
もう一つは別に隠すことがないってこと。
「年齢も地域も非表示、か」
ページに戻ると新しい書き込みが増えていた。
---- そうなんですよね。
もったいなくて。
コウガさんって、海外に行かれてたんですね。
え~と、とりあえずお帰りなさい?w ----
---- (笑)ただいま。
そう、仕事で4年くらい。
こう見えて結構優秀な俺 ----
---- そんな感じ!
顔写真が、すごくエリートっぽい。
本人さんなんですか? ----
---- あ!これはアレ、
ふざけて撮った写真で面白すぎてお気に入りの1枚なんですよ。
っていうか俺本人です。
でもいつもこんなんじゃないですよw ----
文章を打ちながら笑う。
会話が弾むこの感じは久々な気がした。
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