,俺

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白が黒を撲る音 。 白い背景を飾る黒の羅列を、御経の様になぞる低い声 。 此方にも、恐らく前記の低い声の主にも届く、悲鳴にも似た甲高い声 。 居眠りをした、女爪の貼り付けられた比較的綺麗な手からペンが転がり、床に叩き付けられる音で、ふと眼を開く 。 目に映るのは、清々しい程真っ白な恐らく自分のノートと、 先刻ペンを床に落とした彼を睨む、低い声の主 。 ―――嗚呼、空が眩しい 教師の怒鳴り声で、教室に居る八割の生徒が目を覚ましたのは、俺には関係の無い話 。
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