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「ふぅ、さすがの軍歴2年もこの坂はキツイ…」
ここは、安房山っていう山だ。
だけど、名前に似合わず
凄い急斜面で、険しくて危険。
だからなのか、山の入り口に「立ち入り厳禁」って書いた看板が新しくできていたけど、墓がここにあるから無視して入ってきちゃいました!
ま、山育ちだからね。なんとか大丈夫だったよ。
それにしても、ここは景色が良くてなんていっても自然も豊か。
癒される…
持参したお茶を飲んでほっこりとしたあと、
親友のお墓の前に立った。
少し汚れているが、大きくてしっかりしている。
それに向かって、一礼。
年に1回、ちゃんと来てるよ。
元気してた?
そう語りかけながら、花束をそこに置く。
すると、柔らかな風が私の頬をくすぐった。
この風は、あなたなのかな?
「また、会いたいね。」
優しく微笑んで、それっきり姿を消してしまったあなた。
何年か前、事故で死んだって聞いて辛かったんだよ?
また会って、沢山あなたの事聞きたいし、私の事も話したい。
願えば、いつか叶うと思うの。
アキ……
「あ、着信だ。」
不意に携帯のバイブレーダーが鳴っているのに気づく。
誰からだろう?
そう呟きながら
なれた手つきで携帯の着信に出る。
と…
『畑野っっ!てめぇって奴はぁぁっ』
上司の怒号が耳一杯に響き渡った。
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