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「あと……」
葉音が嬉しそうに
話している間、
ずっと不機嫌そうに
押し黙っていた飛鳥が
ボソッと呟いた。
「――…その吉岡、ってやつは
"あいつ"じゃねぇ」
……その言葉をきいて
迂闊に言ってしまったことを
少しだけ、後悔した。
「あ、はは…うん、
そうだよね……うん。」
あたしは、
残念な気持ちを隠すように、
無理矢理笑った。
――…"あの人"が
やっと。
やっと見つかったのかと
思ったのに……
~~♪~♪
あたしたちは
遠くのほうで鳴る予鈴の音に
いそいそと片付けて
立ち上がった。
心なしか、葉音と飛鳥の
横顔に焦りが
浮かんでいるような気がした。
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